今回のdivkaのコレクション「Face」は、服作りにおいてdivkaが重視している制作プロセスを出発点としている。リサーチや実験を行い、それらをもとに制作していく一連の時間の中で形作られて行くものは、当初彼らが想定していたものとは異なり、多くの、あるいはいくつかの差異を孕んだものとして完成されていく。それは例えば、ドレーピングの際の思いつき一つが本筋からの脱線を引き起こすというようなこと。目的地を意識しながらも、目の前のトワルによって横道へと逸れて行ってしまうこと。divkaの服はそのあいだにおける試行錯誤から成り立っている。
“face”と名付けられた今回のコレクションにおいてdivkaが試みたのは、ドレーピングの支点を意図的に動かし、それを与えられた条件として制作を始めることで、私想定を半ば強制的にずらそうというものである。そのようにして制作された彼らの服は、当初の想定から近いところに落ち着いたものもあれば、思いのほか遠く離れた所に逸れていったものもある。そのいずれもが、divkaが当初思い描いていた服の面影を残しながらも、新たな別の表情を身に付けていっている。