今季のテーマは1990年の村上 春樹の小説「The Folklore of Our Times -我らの時代のフォークロア」。
その時代には、確かに何か特別な物があった。
そこにあったもの自体はとりたてて珍しいものではなかった。
時代の回転が生じさせる熱や、そこにかかげられた約束や、
ある種のものがある種の時期に生み出すある種の限定された輝かしさ、
そして望遠鏡を逆から覗いているような宿命的なもどかしさ、
黒と白、破壊と再生、男と女、総論と各論、沈黙と雄弁、そして退屈な時間待ち。
洋服はその時代の空気感を表す物の一つだ。
スタイルは多様化し、価値観もまた然り。
ストリート、モード、トラッドの括りも、もはや無い様に感じる。
ただ1つのルールは自分の価値観だけ。
とりたてて珍しいものでは無く、ある種のものがある種の時期に生み出すある種の
限定された輝かしさをたずさえていれば良い。
こだわりの詰まった物、肩の力の抜けた物、ベーシックなアイデア、
色々な要素が内包されていれば良い。
METAPHOREとしてのコンセプトは、とりたてて珍しいものでは無いが、
ある種の限定された輝かしさが洋服のどこかに小さく出ている事。
それらを組み合わせた時に今の時代の匂いがほのかに香るくらいがちょうど心地良いと思った。
1 2