ファッションではイメージを構築するために、「美しい」モデルが使われます。「細すぎるモデルは禁止」という規則が設けられたりもするように、一般に細身で背が高いことを良しとされていますが、「美しい身体」というのは本当にそれだけのものでしょうか。
というようなことを考えさせてくれる映像作品です。
ユニバーサル・デザインやインクルーシブ・デザインという概念を最近よく耳にします。ファッションでは、たとえば水野大二郎さんがこうした問題を考えています。
しかしながら、こうしたデザインの重要性を承知した上であえて言うと、同時にインディヴィジュアルなデザイン、あるいはエクスクルーシブなデザイン(しばしば使われるような特権意識を与えるような意味ではなく)というのも考えていく必要もあるのではないかと思っています。これはおそらくファッションというよりむしろ舞台衣装(=コスチューム)の領域でこそ考えやすい問題でしょう。そもそもコスチュームは個別性が強いものですから。
個人的な話なのですが、「人間工学に基づいた」というキャッチコピーの靴を買ったことがあるのですが、僕にはどうもあいませんでした。履いていると足だけでなく脚まで痛くなってしまうのです。そのとき、「ああ、僕は『人間工学』の対象から外れた非人間なんだな」とふと思ったのです。もちろんそんなに深刻ではありませんが。
世の中には「絶対」はない、とよく言われます。普遍的なものを追い求めたとしても、必ずそこからこぼれ落ちてしまうものがあります。それをどう拾い上げていくか、というのはいつも難しい問題です。
ちなみに、文章を書くときにそんなことばっかり考えていると、断定することができなくなって、ついつい語尾が「思います」ばっかりになってしまって困ります。多分、このブログでも「思います」が多用されているはずですので、お気付きになったらご指摘いただけると幸いです。