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HIROSHI ASHIDA

蘆田 裕史 / Hiroshi Ashida

1978年、京都生まれ。 京都大学大学院博士課程研究指導認定退学。
日本学術振興会特別研究員PD、京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターを経て、京都精華大学ファッションコース専任講師。
ファッションの批評誌『vanitas』編集委員、ファッションのギャラリー「gallery 110」運営メンバー、服と本の店「コトバトフク」運営メンバー。

e-mail: ashidahiroshi ★ gmail.com(★を@に)
twitter: @ihsorihadihsa

『vanitas』の情報は↓
http://fashionista-mag.blogspot.com/
http://www.facebook.com/mag.fashionista

本の宣伝とブックリスト

まずは宣伝をひとつ。

『ハイファッション・オンライン』(そして実はchangefashionブロガー)の西谷真理子さん編集の『ファッションは語りはじめた──現代日本のファッション批評』という本が今日発売になりました。

そこに研究者/批評家の千葉雅也さんとの対談と、90年代以降のファッション史をオタクカルチャーからの視点でマッピングするような論考で参加していますので、よろしければお手にとってみて下さい。

それに関連して、ファッションの批評を考える上で有益なブックリストを少し。

(どこかからの転用に見えるかもしれませんが、ご容赦を。)

もちろん色々重要なものは他にも沢山あるのですが、現在(多分)あまり目に入ることのないものや、ファッション以外の分野の本で参考になりそうなものを選びました。

★Tiffany Godoy, Style Deficit Disorder, Chronicle Books, 2007

1990年代から2000年代までの原宿を彩った様々なブランドがヴィジュアル資料とともに紹介されている。各ブランドについて細かな分析がされているわけではないが、この時代のブランドがおしなべて忘れられている状況を踏まえると、このように一冊にまとめられた本は貴重である。

★José Teunissen, Made in Japan, Centraal Museum, Utrecht, 2001

ユトレヒト(オランダ)の中央美術館にて開催された展覧会のカタログ。コム・デ・ギャルソン、イッセイ・ミヤケ、ヨウジ・ヤマモト、ジュンヤ・ワタナベに続く若手としてシンイチロウ・アラカワ、ゴム、マサキ・マツシマ、コウスケ・ツムラ、大矢寛朗が取り上げられている。日本ではなく海外の美術館でこのような展覧会が開催されていたことをもっと考えなくてはならないだろう。

★深井晃子『20世紀モードの軌跡』文化出版局、1994年

歴史家とキュレーターという二つの立場から語られる軽妙なエッセイは、ファッションを考えるうえで興味深い視点を数多く提供してくれる。

★前島賢『セカイ系とは何か――ポスト・エヴァのオタク史』ソフトバンククリエイティブ、2010年

マンガ・アニメの文脈で流通し、誰もが知っているけどその内容がいまひとつ判然としない「セカイ系」という概念を丁寧に論じた好著。「セカイ系」がいかなるものであるのか明らかにされていくプロセスも秀逸であり、不用意に使われる言葉を再検討することの重要性も教えてくれる。

『PLANETS』第二次惑星委員会

宇野常寛を編集長とする批評誌。マンガやアニメはもとより、テレビドラマなどさまざまなジャンルを縦横無尽に論じている。現代日本における文化批評を知るのにうってつけの雑誌。

『シアタープロダクツのメソッド』リトルモア、2007年

批評に関心をもつブランドにとってはまさにお手本のような出版物。ブランド自ら過去のコレクションを振り返り、言語化を図ることで、ビジネスとは別の文脈を作り出すことが可能となる。

このほか、『ハイファッション』2009年6月号で「ファッションを読む」と題された特集が組まれており、そこでも様々な本が紹介されています。

関心のある方は是非こちらもお手に取ってみてください。

3 Responses to “本の宣伝とブックリスト”

  1. 本サイトブロガーとご紹介された西谷です。ブロガーとは名ばかりで、実はまだ1行も書いていない情けないヤツです(滝田さんごめんなさい)。

    「ファッションは語りはじめた」の編者ではありますが、これは、ひとえに蘆田裕史さんの熱意があったから生まれた本です。
    でも、さまざまな視点の文章や座談を盛り込んだことで、なんでもファッション批評になるじゃん、って皆さんが思ってくださるのではないか、と期待しています。

    本の中にも書きましたが、蘆田さんや千葉さんのような、ファッションもアニメも哲学も楽しめる世代が登場したことで、急に、ファッション批評は現実的になって来たのだと思います。

    哲学くわしいけど、あの人にファッションのこととやかく言われたくないよねって先生が結構いますからね。逆にファッション業界には、ブランドのことだけはくわしくても、サブカルの知識も哲学の知識も皆無という人が少なくありません。それなのに偉そうな人たちには今回はご遠慮願いました。

    本の入稿を終えてから、もっといろんな企画が可能だったと反省点は多々ありますが、それはぜひ次回実現させたいと思っています。
    今回はあまりにも急ごしらえでしたが、次はもう少し用意周到に。Fashionistaも創刊されることですし。

    またやろうね、蘆田さん!

  2. Masaki Takida より:

    蘆田さん、西谷さん

    ご無沙汰しています。本届きました。ありがとうございます。勉強させていただきます。ブロガーとしても楽しみにしています(西谷さんも)。

  3. 蘆田 裕史 / Hiroshi Ashida より:

    >西谷さん

    コメントへの返信が遅くなってごめんなさい!

    色んなインスピレーション源を持った作り手が増えているので、それに対応できるように、生地やパターンに詳しい人やサブカルを含め色んなジャンルに明るい人など、色んな人が出てくるといいですよね。

    がんばっていきましょう!

    >滝田さん
    ブロガーとしてあんまり活動できてなくてすみません。。。
    こっちも少しずつがんばります!