mame

2013年春夏コレクション「あなたの思い出」を継続してテーマとした今シーズン。今回も新たに家具屋で購入した古い写真の数々をもとに、デザイナーの黒河内氏が写真の中の人物のためのデザインを提案している。

空気を十分にふくみながら織ることが出来る旧型のションメル織機を使用し、柔らかな生地感を実現。シルクウール、レーヨン、ポリエステルの3本の糸を捻り、コードのように織り立てた粗い織りのツイードを部分使いするなど、ウールなどのマットな面に対してツイードや刺繍によって立体感を出し対比を付けている。

一着の中で立体的に見えるようにとデザインされた、ホワイトジャカードの上に多種の白糸で刺繍したドレスの上身頃。同系色の中で近寄ると浮かび上がるスタッズ刺繍が、白のキャンバスにうっすら影を落とす。刺繍では、写真に映る人が生活や恋愛でもやもやしているような人が多かったため、「そんな思いを飛ばしたい」という気持ちを込めて鳥のモチーフを散りばめている。
品やかなとろみ感のあるシルクウールを経糸に使用したドレス。鳥柄のジャカードは刺々しい表情を付ける事で女性の毒っ気を表現した。

キーカラーにはロイヤルブルーを採用。 ブルーレースのブラウスや総レーストップスなど前回使用したブルーとは異なり落ち着いた色味で提案。
またミンクファーのスヌードやクラッチ、アームウォーマーの他、小物でポイントとなるのは蛍光ピンクのビニールバッグシリーズ。黒河内氏が写真を見ながら、MDを組んでいるマップにポストイットを貼っている状態を形にするように、クラシカルな服に対して化学的な蛍光色を差し色としている。

インドの長調綿を時間をかけて編み立てたオリジナルの裏毛スウェットは、コットンでもスポンジのような厚みと柔らかさが特徴。スウェットやカシミアセーターはメンズサイズで作ることで、華奢な女性がゆったり着るようなスタイルをイメージしている。異素材と生地の表情をパーツごとに組み合わせ、一枚にたくさんの思い出が詰まったコレクションだ。

Text:Tomoka Shimogata


Comments are closed.