ショーが終わり、展示会の準備が残される中、
先日起こったことを
完全に溶けてしまった脳で
回想してます。
展示会、是非皆さんきてください。
▶▶▶▶13S/S [I melt]先行受注会/exhibition▶▶▶▶
※バイヤーの方は事前のアポイントにご協力下さい。
会期 :2012年10月23,24,25,26,27日
時間 :10am-8pm
会場 :文化ファッションインキュベーションセンター
住所 :東京都渋谷区桜丘町23番21号 渋谷区文化総合センター大和田 10階 Space 1.2.3.4.5.6
詳細→Facebook
溶ける服は、あるかもないかも。
いずれにしても同じものはないです。
溶けてしまったから。
ショーにお越し下さった方はラッキーです。
それを見ることが出来たから。
本当にアトリエにもなくて、
わたしももう二度と、
あのショーピースに出会うことはできません。
囲み取材でも話しましたが、
ショーピースは溶けてなくなりました。
消えてなくなりたい瞬間からというキーワードは確かにそうです。
それに付け加え、下記の葛藤がありました
ショーピースに関して、
顔が見えない服を作れない。
誰のためにやるのか、誰が買うのか?
この日本で?
ショー見栄えのするものが欲しいじゃないか、
デザイナーのメッセージ、表現のひとつだろ。
これぞコレクションだ!!これぞファッションショーだ。
大きくて、目立つもの作ろう、日常の中の非日常、
これはエンターテイメント?あーと?
いや、服か?誰が着る?電車の中で見かける?
せっかく作ったその子達はどうなりますか?
倉庫行きですか、暗く静かな部屋の中で、
誰かに袖を通してもらう事も無く、
ガラスケースに入れられた静かな飾りになりますか?
誰かが着てくれてこそ、
その人の人生に、文字通り溶け込んでこそ。
誰かが喜んでくれて、
誰かがその服を着て、勇気をもらって、
背筋を伸ばしてくれてこそ。
誰かの生活と人生の道の上を歩く時、必要としてくれてこそ。
という自分の中の葛藤があって、
じゃあ、I melt、いいじゃない。
なにもかも消えちゃえばいいじゃない。ということで。
今回のテーマになりました。
これ、またやりたいんですよね。
ショーピースを作らないと決めてるわけじゃないです。
作る理由と目的があれば、作ります。
それが、今は曖昧でハッキリしないんですよね。
もう一つ、お気づきの方もいるかもしれませんが、メンズモデルが一人増えていました。
Tomoyasu Abe /Loss angels
彼は、ロス在住、帰国の僅かな時間の中、二度もアトリエに足を運んでくれて、自分を売り込みにきました。ドアを開けると、
彼が目の前に立っていたわけです。
ショー前の忙しいアトリエに、アポなしで来るのはNGですし、モデルオーディションを大々的にやっているが故に、全員と同じスタートラインに立つべきです。
彼の良さは、そういった秩序と規律と理屈をぶっ壊してしまうほど、今季最大のミューズだと、出会った瞬間に思わせてくれた。いや、彼を不採用にするなら、誰か、私と観客が納得のいく説明をください。
私には、自分の中の自問自答さえも言葉遊びにしか思えず、
そして、実際に反論する声が出ない程、彼は周りの人間をそのビジュアルと
熱意で黙らせてしまいました。
とはいえ、アトリエにアポ無しで来る事はNGです。
ご注意を。
さて、もう完全に溶けきってますね。
疲労で手が震えてきました。
今回強く感じたのは自分にとってコレクションは、
期末テストのようなものであり、
年に二回しか訪れない「遊ぶ日」です。
私は普段から頻繁に飲みに行くとか、
散歩するとか、そういうちょっとした余暇が苦手で、
その生活がいいとは思ってませんが
常に牢獄の中にいるわけで、
その私が一年にたった2回だけ、
外に出て、太陽の光を浴びる日なんだなと。
じゃあ、思いっきり遊んでやろう。
圧倒的に遊んでやろう。
そんな風に、終わってから思いました。
私は、世界一幸せなデザイナーです。
おこがましくもそう思います。
期末テストで一位を目指したい。
それは私のためだけじゃなく、
私をデザイナーとして存在せてくれるのは、
愛するモデル達と、
愛するチームボネゲと、
それを慕って集まってくれる人達のおかげなのです。
デザイナーになるにはどうしたらいいですかと
聞かれる時がありますが、
ドローイングが上手いとか、縫製が上手いとかじゃないんですよ、
そんな技術的な事は、死ぬ程練習すればいい。
だけど、これだけは難しいんです、
「素晴らしいチームを持つ事」
私が幸せだと思うのは
今、私には素晴らしいチームがいると思っているからです。
自分が溶けてなくなっても、
このチームだけは守りたい。
それでは、
展示会にてお待ちしております。
Olga