Fashion Show

Enharmonic TAVERN

過去の暗黙的ルールのなかでいかに無意識であったか、当たり前のことへの疑問視から辿り着いた”予定調和からの脱却”を根底に「Classical Muddley」をテーマとした今シーズン。
1970年、イギリスのポーツマス美術学校で学生を集めて結成された世界最悪の交響楽団「THE PORTSMOUTH SINFONIA(ポーツマス・シンフォニア)」にみるクラシック音楽に対する”予定調和からの脱却”。楽器が弾けない彼らの真剣で真っ直ぐな演奏は、人々に感動を与え、暗黙的ルールを破った。

コンサートホールに「THE PORTSMOUTH SINFONIA」による映画”2001年宇宙の旅”に使用されるR.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」やくるみ割り人形第3曲「金平糖の精の踊り」などが鳴り響く中、クラシカルなドレススタイルを軸にスポーツ、ワークなど様々なテイストを服に落とし込むことでオーケストラを奏でる。

ブルーのクロップドパンツやレモンイエローや彩度が高いオレンジのニットジャケットといった、これまでのEnharmonic TAVERNの土臭さから脱却した明るくクリーンな色彩。重くごわついたデニムの概念を覆すのは、細番手のウール糸をインディゴでロープ染色した世界初の技術を生かしたデニムセットピース。柔らかく上品な光沢感が、デニムにドレススタイルという新たな付加価値をつける。
もも丈のシャツコートはピンタックや裏地の柄をアクセントに。燕尾服をイメージしたシャープなジャケットやコート、全て異なる種類のボタンをあしらったヘンリーネックには、50’s〜80’sのヴィンテージ感が漂う。また、ポケットの袋布にはNASAでも使用される破れない紙を採用している。

その他オーバーウエストのショルダーベルトショートパンツや大きめ襟のシャツを始め、ネクタイやデッキシューズ、眼鏡などの小物をプラスすることで学生らしい、細部に渡り世界観を演出。
服の素材感、ディテールからさらなる最上を求め、無意識の生活に戻らないための新たな価値観を提案した。

Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata


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