Fashion Show

beautiful people

今季のテーマは「EDOMAE TRAD」。春夏プレコレクションで取り上げた「男はつらいよ」の寅さんから学んだ「いき」を、さらに発展させた江戸前トラッドなるものを提案する。
例えば江戸時代、身にまとう事が最高のステイタスである鼈甲を摸して鼈甲の透明感までを表現したレイン対応トレンチコートや、江戸格子とマドラスチェックの関連を見出して作られたというアイリッシュリネンのカーゴパンツ、笹和紙をウール織機で織り上げたPコートなど至る所に江戸のディティールが落とし込まれたアイテムたちが揃い、東京の一歩先のファッションのあり方を示す。

「江戸のいき」を現代のトラッドでベーシックな要素と掛け合わせたという今回のコレクション。そもそも“いき”という言葉は抽象的で分かりにくいが、仮に九鬼周造の“「いき」の構造”から引用すれば「異性への媚態」「江戸文化の意気地」「諦めと恬淡」という解説を付することも。
いずれにしても、“いき”を体現する人物としてのビジュアルパーソンとして寅さんをモチーフとして使用し、分かりやすく見る者に表現する事で理屈ではなく、感覚で“いき”という現象を共有すること、そして日本人独自の美意識とそれを更にアップデートすることにより新たな“現代のいき”を創造すること、そうしたテーマ性を感じさせるコレクション。

Photo:Ayako Masunaga Text:Fumiya Yoshinouchi


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