Fashion Show

mintdesigns

「THE DARKSIDE ISSUE」というテーマが意味するのは”ミントデザインズの裏面”。「明るくポップではない面を引き出してみたかったのと、強い意志を表現できれば」とデザイナーの八木氏が語るように、色や柄を得意とするブランドにとって欲求を抑え、黒を中心に色を絞ることで作り手である自分たちにプレッシャーをかけ、何を伝えたいのかを掘り下げていくことが根底にある。

兎柄や猫柄といったポップな落とし込みが出来そうなモチーフを、敢えて同じ柄をリピートすることで幾何学的に表現。黒と白の強いコントラストの目紛しいほどの羅列と無機質な印象が緊張感漂う空気を生む。

ドレスは身幅からオーバーする丸みを帯びたバックのシルエットが特徴的。パジャマのようなストレートなゆとりを持つテーラードスーツや中央に立体的なふくらみがあるドレスなどプリントより織り生地で柄を見せるテキスタイルを多用。
桐生の工場に眠る全盛期の古い生地資料を参考に、現在ではほとんど使用されていないチンツ加工やネクタイ生地を取り入れた今季。
ブランドに欠かせない「コンテンポラリー」「軽さ」「透明感」を光沢や部分的なシフォン使いなどで再現している。

ランダムに描かれた大量の椅子。今まで行ってきた柄の方向まで徹底した計算も敢えてせず、偶然性が生んだ柄の方向を残したことから、切り替えに向かって内に入るような椅子の描き方などにどことなく恐怖感さえ感じる。
表層に現れる1人1人の個性を排除した、強い意志を持つ女性像。品良くまとめすぎず、柄×柄など強さを誇張するようなスタイリングが目立つ。

色彩だけでなくロングスカートやミニスカート、ヒールシューズとこれまで見られなかったアイテムを提案。「得意分野だけでは自分たちもお客様も飽きてしまう。常に意識的に違うものを掘り下げていき、その後で自分たちの本領に戻ればより一層強いものが出来るのではないか。」と一度ストイックになることで、昨年の設立10周年からまた新たなステージに一歩近づいたコレクションとなった。

Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata


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