Fashion Show

MITSUSHI YANAIHARA

舞台衣装からキャリアをスタートさせたデザイナーによるメンズブランドMITSUSHI YANAIHARA。「人生に寄り添い、静かに自他を揺らす服」を作り続けることをコンセプトに、日本全国の産地と関わりながら実験を繰り返し、オリジナルのテキスタイルをつくりあげ、デザイン、パターン、縫製までをデザイナー自らが手がけている。

今季も特別なテーマを設定するのではなく、普段のアトリエワークや、生活の中での日々起こる出来事に着目し、それら「毎日の質感」を服に落とし込んだコレクションを発表した。朝、アトリエに着いたときに、パターン紙の上にインク瓶が倒れていた様子や、デザイナーの幼い娘がラクガキしたものをそのままテキスタイルとして表現。ユーモアに富みながらも、時間や人などとのデザイナーの真摯な向き合い方が伺える。部分プリントのように見えるテキスタイルは、全て刺繍が施されていて、技術の細かさを感じることが出来る。

同じシャツ素材に対して一部手織りを加えたり、部分部分に構造分解を加えたりと、同じ素材ながらも加工の違いによって、異なる表情を生み出す。職人にとっての失敗である「ひあい」をわざと生地として活かしたジャケット、繊維を拡大したような編み込み模様のステッチを加えたセットアップ、一宮の高度な技術によるシルク独特の光沢感あるジャケットなど、素材にこだわりながらも、縫製や生地作りでは実験的にアレンジを加えていくことで新たな可能性を追求し。バッグやストール、ネクタイなどの小物も充実した。

Photo:Yoshiaki Miyahara Text:Kohei Tsurumoto


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