デザイナー自身が日常の中で感じる「消えてなくなりたい」という思いをコンセプトのソースにした、今季のテーマは「I melt」。複雑な思春期の心理を表現するような繊細な感情。この感情を表現するように、溶けた淡い色彩が今季の特徴。

電子音楽にのせて、フロントとショルダーラインのカラーを切り替えたシャツを着たモデルが登場。青のラインの入ったスキニーパンツが全体を引き締め、優美な男性像を演出。今回初めて使用したというシルク素材のワンピースは専用の染料を使い、デザイナー自身が一つ一つ手で染め上げている。ウエスト部分が固まっている加工のカットソーは、溶けた後の形状を残したもの。ドレープを効かせた柔らかい素材に、ブルーにイエロー、パープルなど様々な色を溶け合わせた色彩は、春の淡い光も表現しているかのように優しいイメージを強める。

フィナーレは、「他のブランドがやらない事をしたかった」とデザイナーが言うように、霧吹きを持ったモデルが自らの服にカラーウォーターを吹きかけるというパフォーマンスを。「I melt」というテーマを表現するように、みるみる内に服が溶けていき、その儚い世界観を表現していた。

Photo:Ayako Masunaga Text:Kohei Tsurumoto