Fashion Show

matohu

matohuが考える「見立て」。通常何かを別のものに見立てるという意味を込めているが、今回のコレクションでは「何かの道具を別の使い方をする」という意味に絞ったアプローチに試みている。

「本来の使い方とは別の使い方をすることで、新鮮な見え方をする=転用することがクリエイションになる」というデザイナーの意図が最も色濃く反映されているのは、ブランドの背軸となる”長着”だ。変わらずに提案していく中でいかに新しく見せるかを考慮して現れたのは、ストライプ、流れるようなドット、三角形のモチーフを散らした生地は使い古され剥げたベルベットのような表情をリネンで表現したデザイン。

ビニールのストローマットのようなテクスチャーを和紙に置き換えたり、懐かしさの残る水玉のカーテン生地をイメージしたジャカードスカート、ビニールの紐と手帳のバインダークリップによるクラッチバッグ。
ブルーグレーやレモンイエローといった淡い色彩の羽織やフレアスカートは、新たな風を運び込む。

さらに全体のアクセントになったのはロープアクセサリー。リオデジャネイロで出会ったアクセサリーデザイナー、Claudia Savelliによるものだ。
またボーダードレスに重ねたネットドレス、アシンメトリーなメッシュドレスなど、4ブロックに分かれた構成に対し、あえて強調するようなレイヤードスタイルを展開。

「普段身の回りにあるありふれたものを自分のアイディア次第で使うことで、生活が楽しくなったり面白くなったりというような遊びの感覚を込めると同時に、物を使い捨てず上手に使い込んで、大事にするという日本人的な在り方を含めて提案できたら」とデザイナーの堀畑氏。

今回カーテン生地など洋服に使用されないような生地を、着心地が良いように一から作り直したという。テキスタイル制作に携わったのは、今月末に廃業が決定しているテキスタイルメーカー、みやしん株式会社。タイヤ柄の黒い長着やシワ加工のスカートやドレス生地などを手掛けた。

足し算から必要な部分のみを削ぎ落としたという今季。わざと裏面を使用した、ふうせんかずら柄のレースジャカードなど、フェミニンさの醸すユニークなフォルムが特徴となった。

Photo:Kaori Sugawara Text:Tomoka Shimogata


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