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音楽バンド、HOSEのリーダーである宇波拓氏を筆頭に編成された5人のアーティストが繰り広げる即興音楽が響き渡る。チューニング状態が予感や期待、高揚感を生み出す。モデルはマネキンと化し、客の視界を吸収する。

白く大きな襟の下のキャメル、ブラック、ホワイトのアイテム。ヴィンテージライクなチュールとシフォンのレイヤード、控えめなレースはランジェリーのように繊細で、シルクの光沢が贅沢な気分を招く。
幾重にも重ねるレースを継ぎ接ぎをしたドレス、ネグリジェのようにゆとりを取ったデニムワンピース、厚手のラビットファーに合わせた細かい刺繍を施した起毛ドレス。1つ1つの丹念な物作りを肌で実感する。無地のブラックにチャコールグレーのチェック生地を交互に組み合わせたトレンチコートは、足首程のロング丈で大きな弧を描いている。太めのリボンベルトをアクセントにしたコートは、ストレートシルエットでレトロチックに演出。

20年代のクラシカルな装いとヘアメイクを意識した今回。スタイリングは前回同様、大森伃佑子氏が手掛けている。「モデルがすぐに去るのではなく、もっと目の前で感じ取ってほしい」と語るのはクリエイティブ・ディレクターのチダ氏。目で追うのではなく、その場の温度、時間、耳に入る音をごく自然と身体に染み込ませた時、じんわりと入り込んでくる服のディテールや感覚。夢心地なようだが、残像がいつまでも脳裏に焼き付いている。

Photo:Yukako Tomita Text:Tomoka Shimogata

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