Fashion Show

Johan Ku

映画「トリコロール/青の愛」から着想を得た今季。身体にフィットした青と黒のバイカラーニットの上に、極太の糸で編んだダークブルーのケープニットをかける。異なる糸の幅、編み方によってフォルムがうねる。
夫と子供に先立たれ、精神的に不安定な主人公、ジュリーを投影するように片足が大きく膨らみ、もう一方はスリムなサルエルパンツやワンショルダーニットなど、重心をずらしたデザイン。さらにボタンには映画内で、想い出や過去の象徴であるクリスタルを用い、皮肉にも絶望の中で、忘れられない記憶だけが無垢な美しい輝きを放ち続けているようだ。

後半には、2012S/Sに引き続き、暗闇で光る素材を起用したアイテムが登場。前回はニットのみだったが、今回はプリントアイテムを展開。秋冬ということでウールを使用し、前回とは異なる、温かい触感を生み出している。

キャットスーツやフリンジのような細い切り込みが幾本も入ったドレス、セットアップ等、ペインティング柄のコバルトブルーのプリントテキスタイルにはポリエステルを使用。ニットの70%はウール、残りの30%はリリアンのように糸の周りに巻き付けるテクニックで光る素材を編み込んだ。蛍のような青緑がかった白い光が静寂に浸りながら、不安と焦燥、慈悲などが混在する人間の感情の動向を照らしているよう。

Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata

Comments are closed.