Fashion Show

araisara

6シーズン行われた日本でのショーは一旦幕を閉じ、次回からパリへと舞台を移すaraisara。
今期は“阿那曲ADAKYOKU”をテーマに。阿那曲ADAKYOKU”とは楊貴妃が詠んだ詩のことを指す。楊貴妃は、あくまでも伝説上だが、日本とも関係があったとされており、その楊貴妃の詩をテーマに掲げ日本と中国の2つの国の文化を服の中で引き合わせる。

日本の友禅の技法である濡れ描きは、中国では水墨画の技法として長く受け継がれてきたもの。剪紙という中国の民間伝統工芸品は、日本では切り絵として独自に発展しており、異なる「場所」で異なる「文化」を持ちながら、固有に生まれた共通の技術。この両者の技術を服の中で呼応させる。

生地にはベルベット、綿ローン、シルクガーゼなどを使用し、東洋スタイルをモダンでモードなテイストに。モノトーン、パープル、ブルーと落ち着いたカラーで構成され、ショールやラペルで遊びを効かせたアイテムが特徴的だ。

またフィナーレに登場したモデルが着装していたアイテムはすべて同じデザイン。着こなし方は数十パターンと幾分にもあり、何通りもの着こなしが可能。

ショーでは尺八、チェロ、そしてピアノの生演奏。そしてショーの終盤には「リフレッシュ」という柑橘系の香りが会場を包む。「現代で必要な物はなによりも時間」とデザイナー荒井沙羅氏が語るように、ファッションショーだけでなく、音楽も香りも同時に、有効に時間を使って楽しんでもらいたいという思いから演出にも力を入れる。
視覚、嗅覚、聴覚。多様化する価値観の中で重層的に織りなす表現は、ラグジュアリーの一例を示したコレクション。

Photo:Koji Shimamura Text:Tomoka Shimogata

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