2011年9月13日、代々木オリンピックプラザにてFACTOTUM,FACTOTUM femme 2012 Spring&Summer collectionが行われた。
燦々と照りつける日光を吸収するように、大きな弧を描くランウェイ。リズミカルなメロディは柔らかく爽快である。
毎回、デザイナーの有働氏はテーマ探しのため旅に出る。”ニューヒッピー”を探し求めにポートランドへ向かった。メンズモデルがレディースを、ウィメンズモデルがメンズを着用して登場したファーストルック。「ヒッピー」をキーワードに、「シェア」に着眼点を当て、ジェンダーを意識したアイテムが登場した。
エンブレム付きジャケットやイージーパンツ、スタジャン。ダメージとパッチワークを組み合わせた大きめパーカー、チェックシャツなどアクティブなワーク・カレッジスタイルが特徴的。モスグリーンやイエローベージュ、クリームとカジュアルな色合いにコバルトブルーが挿し色となった。
「デニムに対する深い思いと、モードとリアルクローズを融合すること」をコンセプトに掲げるFACTOTUM。バイカラーデニムやつなぎ服というように、今回も独創的なデニム使いが多々見られる。前半には70年代を意識しつつ現代的なスタイルをミックスしたモダンスタイル、後半にはピュアさの残るスタイルを提案した。
また、ポートランドのシンボルである薔薇をモチーフとしたプリントアイテムは、遠目で見るとポルカドットのようなポップさと、薔薇のエレガントさが共存する。
今コレクションではもう1つ、「再生」が鍵となっている。ランウェイに使用された木材、立てかけられた白い布も後にシャツにして再利用される。今までのコレクションからのリメイクアイテムも展開。
WEBでのクリエイションに発表の場を移していた近年。みんなで共有する場として、1番のプレゼンテーションとなると考えた末、ショー形式の発表が蘇った。ヒッピーのリベラル精神と大切に守るべき精神の融合を落とし込んだコレクション。気がつけば服を一目見ようと、公園に人々が集まっていた。そんな解き放たれた時間の流れを感じるショーとなった。