Jenny Faxが2012 S/Sのcollectionを発表した。デザイナーのシュエ・ジェンファン氏の学生時代、学校やクラスメイト、テレビで見たアメリカのホームドラマなど日常の記憶や経験を、女子の目線でデザインに落とし込む。
会場のセンターには花で作ったアーチが設置されカーペンターズの歌と共にステージの弾幕が上がる。壇上には少女が立ち並び、まるで合唱コンクールのような演出。制服のテイストがふんだんに散りばめられ、紺のプリーツスカートに白いソックスなど女子中学生の幼さを再現し、ブルマにはアニメの少女、カットソーにはアニメの少女の目のプリントが施されている。大きなパフスリーブに、ウエディングドレスなど少女の気持ちの移ろいやすさを表しているかのようなばらばらなアイテム。
その中にぽっちゃりしていてボーイッシュなモデルが登場。威圧的なメイクを施し、手にはぬいぐるみ、服はフリルでしかしハードな厚底ブーツと他モデルとは雰囲気が違う。実はショーの前にバックステージでこのモデルを周りのモデルがいじめるというインスタレーションが行なわれた。来場者にはいっさい公開・発表せず陰湿に行なわれ、そのあと何事もなかったかのようにランウェイを歩く姿はまさにリアルな状況。
青春の思い出をリアルに表現し、幼児さとフェミニンさを感じさせるアイテムは、服とその背景にあるコンテクストを一連のストーリーにのっとって表現されたコレクションだ。