Y.M.Waltz 2012 Spring/Summer Collectionが披露された。

「COLOR APARTMENT」をテーマに絶妙なカラーブロックアイテムが見られた今回。アトリエとしていたアパートの取り壊しを機に、日常を共にしてきた古びて色褪せた壁面、冷たくも温かい廊下、アトリエから見える光景の1つ1つに感謝の想いを込めるように仕上げている。
木陰の木漏れ日を旧式のシャトル織機で金糸を織り込んだ生地で表現、アパートのドアと窓から採取した2ブロックカラー。今にも雨が降り出しそうな泣き顔空に、涙が滲みてぼやけた光と空の色変わりの様は、シルクスクリーンの版を後からぼかすという京都で出会った特殊技法によるもの。手作り感が複雑な表情を浮き彫りにする。
トレンチコートや夕立をイメージしたレイヤードドレス、ジャージーデニムジャケットにアースグレーやベージュ、水分を含んだ濃厚なグリーンをのせて、懐かしさと刻々と流れた時間が形となった。淡いピンクとベージュ、ベビーブルーが混ざり合った柔らかいプリントが夕闇に向かう曖昧な空を目の前に想像させる。マンションの至る所で見られる一輪の赤い花、人影、、、。上質な素材選びとこだわり抜いたディテールを大事にしながら、生活の中で身近にある情景を切り取った、心落ち着くコレクション。

Text:Tomoka Shimogata