CHRISTIAN DADAが2012 S/S collectionを発表した。今期のテーマは「SIGNAL/NOIZE」。これはダムタイプの「S/N」から引用した言葉。SIGNAL=布、NOIZE=ミクストメディアを使用し、混ぜ合わせる事で骨の可視化を表現にしたアルゴリズムであるとデザイナー森川氏。
ファーストルックにはトナカイなのか鹿なのか判別できないが、その動物の顔の骨を胸のあたりに装飾されたモデルが登場。骨は死体のアイコンで動かないものであるが、その無数の不動の表現が骨を纏って動くことにより有動になり生命を表現している。シースルーや光沢ある素材などが多く見られ、ほぼ黒一色のコレクションであったが、素材を変えることで黒の濃度に変化を与えている。スリットの入ったドレスや、後ろ身頃にスタッズが貼り付けられたディティールに加え、箱に顔がでる穴を開けただけの、一般に服とは呼べないであろうアイテムや、檻を持って歩くモデルなどアバンギャルドという永遠の更新システムにも負けないブランド哲学の貫徹さを感じる。ラストルックは唯一白で統一したスタイル。このルックが死を意味しているつまり動的状態から不動状態を表現する為に骨の色である白を使ったのだろうか。いずれにしても鑑賞後色々と思案することを義務づけられたかのようなコレクションであった。
Photo:Koji Shimamura Text:Fumiya Yoshinouchi
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