二年という尺をとり、“いろは歌”全四節の一節ずつをシーズンテーマに掲げてコレクションを展開するohta。3節目の今シーズンは「ういのおくやま」で無常のこの世の中を、道もなく越すに越されぬ深山にたとえた言葉。ただテーマは伝えたいメッセージではなく、あくまでも作る過程のツールであり、制作のためのスキームだという。
今季はライトブルーのテンセル素材のセットアップに、テーマの山にリンクさせたエンボス加工されたシャツ、絣染めを施した生地で作られたジャケット、また今季から新しくストライプやデニム素材も使用している。注目は欲望のイメージがコラージュされたテキスタイルで、更にひらがなを解体した線や曲線が描かれている。緑をベースカラーに様々なイメージが散りばめられ、シューズやワンピースなどのアイテムに落とし込んでいる。シャツはユニセックスにも着られるよう袖山も落としゆったりめのシルエットに仕上げている。
また小物や陶器も引き続き発表。折り紙をモチーフに作られたリングは2サイズ展開し使えば使うほど、表面の塗料がはがれ味のある風合いが表出する。グリーンやブルーなど優しい配色が得意なohtaならではのコレクションだ。