FUGAHUMという架空の国家が辿る歴史を切り取り第10章まで続くアートプロジェクトの一環として作品発表を行っているFUGAHUM。最終章となる第10章・2012 S/S collectionが披露された。
今期のテーマは「PORTAL」。玄関の意味を持つこの言葉は入り口でもあり出口でもある。FUGAHUM自身の次のステップという意味合いも含んでいる。
時空を超えた次元では、“meme(ミーム)”という文化的遺伝子はコピーされ伝達される間に誇張も縮小もする。今回はその“meme”をいかにして残していくか、そうした問題を提起したコレクション。
宇宙柄のプリントのコートの後ろ身頃には時空を表現した窓が開いており、見る場所によって見え方が異なる。銀河という世界(地球)のそとにある空間には、未知の超越的な美が存在することを、プロダクトを通して感じることができる。タンクトップが間にはめ込まれたカットソー、構造的で不規則なスカートとパターン造形にも創造性を発揮。
またショートムービーも披露。グラフィックで構成された画面の中心にある穴(時空)に吸い込まれるという一貫したストーリーだが、その過程で一瞬記号が浮き上がり消える。人は認識しているものしか認識できないという哲学的でメタな視座をこの映像が与えてくれた。